プロポーズ(第7話)
「明日じゃダメなんですか?」
と、成宮係長が訊いた。
「明日の土曜日、オレ、休日出勤してもいいですよ。それで片づければ、来週月曜日、朝イチで提出できるじゃないですか」
明日、21日になると、新しい給与計算期間が始まるから、休日出勤してもかまわない、という提案だった。
「いえ、それが」
と、わたしは説明した。明日、土曜日の午前中にお客に提出しなければならない、ということを。
「ええーっ?」
舌打ちされた。「そんな仕事を、なんで今ごろになって?」
「申しわけありません」
わたしは小さくなって、また頭を下げる。
なんでわたしがこんなに頭を下げなくちゃいけないんだ。みんな営業の諸橋のせいだぞ。くそっ。
と思ったら、そこを成宮係長につっこまれた。
「それって営業案件でしょ? 担当者はだれです?」
「あ? ……あの……」
困ってしまった。諸橋氏は嫌なやつだが、告げ口するようなまねは、同じように嫌だ。
「諸橋?」
「それが……」