プロポーズ(第7話)
「じゃあ、ぼく、準備してきます。小湊課長、お手伝い、お願いできますか?」
「もちろん」
四方は小湊課長をうながして、さっと退場した。
意外にフットワークの軽い男なんだな、とわたしは思った。
壁の時計に目をやると、4時40分。
わたしは成宮係長の机の横に椅子を用意してもらって、レクチャーを受けることになった。
週末のせいなのか、いつもこうなのか、係長を頭とする8人分の島には、今は係長を含めて3人しかいない。
成宮係長が自分のデスクトップパソコンの24インチディスプレイに資料を表示して、機械のことを説明してくれた。
おかげで概要はわかってきたが、専門的なことまではわからない。
もう少し突っこんだところを知りたいと思ったときに、4時55分の予鈴のチャイムが鳴った。
これから5分間のお掃除タイムになる。
島に残っていた設計屋さんふたりが、箒と塵取りを持って、机のまわりの掃除を始めた。
わたしも手伝わないといけないのでは、と思ったが、
「いいからいいから。時間がもったいない。続けましょう」
成宮係長があせったように手をふって、説明を続けた。