プロポーズ(第7話)
人事担当の役員までも動かしてしまったのだ。あの営業の諸橋氏に、いずれ何らかのペナルティが与えられるだろう。
ザマアミヤガレ。なんてはしたないことは、わたしはレディだから思わないけれど。
今後は、少しは仕事がやりやすくなるんじゃないかしら。
「おい、四方」
成宮課長はわたしのとなりに立つ四方のところへ歩み寄って、その肩に指を食いこませた。
「いったいどうやったんだ?」
「ん? なにがです?」
「とぼけるな。どうやって、あの堅物の人事部長を動かしたんだ?」
「動かすだなんて、そんな。ぼくはただ、今の窮状を報告して、相談しただけです」
成宮課長は眼鏡の奥からジロッと四方を一べつすると、
「ま、いい。とにかく、マニュアルのほう、片づけよう」
「はい」
わたしたち3人は、急いで1階のドキュメント課へと降りていった。