プロポーズ(第7話)
わたしはあせった。
「あっ、課長、そんな。わたしが」
「いいんだいいんだ、友高君。ぼくはこんなことぐらいしか手伝えないんだから」
「ぼくも持ちますから」
四方が横から手を添えて、男ふたりで大きなディスプレイをパーテーションの前の机まで運んだ。
「友高さん、紹介します。こちら、うちの部の森京子さんです」
「ども」
四方から紹介された森さんは、配線しながら、わたしに軽く会釈した。
四方が言っていた応援の人というのが、この森さんということらしい。
「友高です。今日はよろしくお願いします。わたしも配線、手伝いますよ」
「いいのいいの、アタシのかわいいキカイくんなんだから。他の女には触らせたくないの」
「はあ……あの、今日はお忙しいところをありがとうございます。ご迷惑をおかけします」
「ホントよぅ。四方ちゃん? アタシ、今日は合コンに行くはずだったんだからね? ドタキャンしたんだからね? わかってる? これでアタシがお嫁に行きそびれたら、あんた、責任とってくれる?」
「はい、ぼくの愛人でよければいつでも」
「バカ。だれがあんたなんかの」
四方は、アハハハ、と笑った。