プロポーズ(第7話)
わたしは背筋に寒さを感じた。
こんなメンバーで仕事ができるのだろうか?
森さんのことは、もちろん社内の女性のことだから、うわさには聞いている。品質保証部にいる変人で、女性には珍しいパソコンオタクだという。歳は四方と同じくらいだろう。
「はい、配線完了」
森さんはそう宣言すると、巨大なお尻をドッカと椅子におろして、パソコンの電源を入れた。
数秒後に19インチと40インチのモニタがログイン画面を表示した。ふたつのディスプレイが並列につながっているらしい。
森さんがすばやくキーボードをたたいて、まもなくパソコンが立ち上がった。
「準備はいいわよ、四方ちゃん」
「よし。じゃあ、ちゃっちゃと片づけますか」
森さんの声に四方が応え、とにもかくにもわたしたちのマニュアル作成が始まった。
壁の時計は5時30分を示していた。