プロポーズ(第7話)
ここはどうしても、しっかりと答えなければいけない。
わたしは川中さんのこれまでのことを、猛スピードで思い浮かべた。
彼女が私たちの部署に異動になってきたのは2年前。経理部からはじき出されてきたのだった。
仕事ははっきり言って、のろい。本人はそれなりにまじめにやっているつもりだけれど。
川中さんがいなくなっても、別の人が来てくれれば、仕事にはまったく影響しないかもしれない。
でも。
わたしは考える。
それでも……。
わたしはどういうことを望んでいるだろうか?
1秒の何分の1かの瞬きするほどの時間で、わたしは頭が焦げ付きそうなほどに集中して考えた。
そして、
「バカね」
と、真剣に答えた。「大事な仲間に、そう簡単にやめられたら困るわ」
川中さんが鼻をすすりあげた。
「はい……がんばります」
泣きながら、わたしにおじぎすると、今度こそ向きを変え、化粧室へ向かった。