プロポーズ(第7話)
わたしの職場はビルの1階にある。
廊下の端にあるドアをあけると、パーテーションと本棚で区切られた小さなエリアに入ることになる。そこがわたしの働くドキュメント課だ。
1階の大きなフロアの大部分は、総務、法務。経理などの重要部門で占められ、ドキュメント課などという弱小部署は、こうして隅っこに追いやれているわけだ。
小さなエリアのまん中に、4つのスチール机が向かい合って並べられ、その島から少し離れて、大きめのスチール机がひとつ置いてある。
課長がひとり、係長であるわたしと、平社員が3名、計5名の小所帯だ。
組織上は営業部となっているが、2階のフロアの大部分を占める営業部には相手にされない、アブレ者たちの集まりでもある。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、課員たちがもどってきた。
男性は課長ひとりで、わたしを含めて、中央の島にいる4人は、全員が女性だ。
今日は20日の金曜日。
給与計算上の締め日であると同時に、週末でもある。みんなの仕事の進行状況を把握し、手伝えるところは手伝わないといけない。
わたしはみんなに声をかけた。
「さて、みなさん、定例の週末チェックです。ちょっとお仕事の進み具合を拝見させてください」