かおるこ連絡ノート
あわてて、ハルオは振り返った。
学生服をはおったアキオが、ガムを噛みながらハルオを見下ろしている。


「ご、ごめんっ!」
「なぁに謝ってんだよ。教えてやっから、そのまま弾いてみろ」
「で、でも」


アキオが、椅子に座る。


「ほら、コードくらいわかんだろ」
「わ、わかんない」


おどおどと答えたハルオに。
アキオが、笑う。

その楽しげな笑みに、ハルオは、見とれた。


もしかしたら。
自分がギターを弾けるようになったら、アキオは、連れて行ってくれるかもしれない。
ハルオを、アキオの世界へ。
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