かおるこ連絡ノート
森木の父親は、兄に金属バットで殴られて、死んだ。

森木には、止めることができなかった。

目の前で、割れた頭蓋骨から血と白いものを流しながら、白目をむいて泡を吹いている親父と、それでもバットを振り上げて喚いている、兄。


あのとき、止めていれば。


森木は、兄が、好きだった。

親父は口うるさく、ちょっとしたことでもすぐに子供を殴った。

殴られたあと、兄がいつも、森木を慰めてくれた。


俺が中学を卒業したらさ、こんな家、出ていこうな。

森木の肩を抱いて、兄はいつも、言っていた。

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