かおるこ連絡ノート
なのに。
結局虎之助は、八郎と共に戦うことはできなかった。
そのことはきっと、八郎を失望させたはずなのに。
八郎を置いて京都から江戸に戻った虎之助に、八郎は会いに来てくれた。
「最後に、虎さんの顔が見たかった」
変わらない、穏やかな笑みを浮かべて、八郎は言った。
腰ぬけと、軽蔑されても仕方がない状況なのに。
八郎は、いつも、どこか眩しげに虎之助を見ていた。
その視線が、微笑みが、虎之助をいつもかすかに傷つけた。
そんなに親しげな笑みを浮かべて、けれど苦しげに咳き込んでいるときは、八郎は近づこうとする虎之助を片手で制して、決して近づけなかった。
あのときが、たった一度だけの機会だった。
八郎との間にある、彼岸の距離を踏み越える、たった一度の。
だから、尋ねた。
「八郎さん、あんた、俺のことをどう思う」
結局虎之助は、八郎と共に戦うことはできなかった。
そのことはきっと、八郎を失望させたはずなのに。
八郎を置いて京都から江戸に戻った虎之助に、八郎は会いに来てくれた。
「最後に、虎さんの顔が見たかった」
変わらない、穏やかな笑みを浮かべて、八郎は言った。
腰ぬけと、軽蔑されても仕方がない状況なのに。
八郎は、いつも、どこか眩しげに虎之助を見ていた。
その視線が、微笑みが、虎之助をいつもかすかに傷つけた。
そんなに親しげな笑みを浮かべて、けれど苦しげに咳き込んでいるときは、八郎は近づこうとする虎之助を片手で制して、決して近づけなかった。
あのときが、たった一度だけの機会だった。
八郎との間にある、彼岸の距離を踏み越える、たった一度の。
だから、尋ねた。
「八郎さん、あんた、俺のことをどう思う」