かおるこ連絡ノート
ようやく。
虎之助は、八郎の笑顔の意味に、気付いた。
八郎はずっと、知っていた。
虎之助が苦しんでいたことを。
虎之助を支え、慰めてくれた、八郎の存在さえもが、虎之助を傷つけていたということを。
贖罪の、笑み。
八郎には、わかっているのだ。
自分の頼みが、どれほど、虎之助を傷つけているかを。
それでも。
八郎は、虎之助に縋ってくれた。
一度は、虎之助から手放してしまった、距離を踏み越える、機会。
八郎の思いを、罪を、戦いを、この手で一緒に背負う。
虎之助は、八郎から、刀を受け取った。
八郎が、痛みに冷たい汗を浮かべながら、それでも、笑う。
望みを成就したかのような、笑顔。
叫びを噛み殺すために、刀の握りを口に咥える八郎に、せめてその瞬間の痛みは一瞬ですむように、虎之助は刀を振り下ろした。
「……八郎さん。それでも結局、あんたは俺を置いていくんじゃないか」
親友の腕を切り落とした、その重荷だけを、虎之助に残して。
堪え切れるはずのない叫びを、無理に押し殺して。
八郎は手当てすることさえ許さず、虎之助のもとを去って行った。
虎之助は、八郎の笑顔の意味に、気付いた。
八郎はずっと、知っていた。
虎之助が苦しんでいたことを。
虎之助を支え、慰めてくれた、八郎の存在さえもが、虎之助を傷つけていたということを。
贖罪の、笑み。
八郎には、わかっているのだ。
自分の頼みが、どれほど、虎之助を傷つけているかを。
それでも。
八郎は、虎之助に縋ってくれた。
一度は、虎之助から手放してしまった、距離を踏み越える、機会。
八郎の思いを、罪を、戦いを、この手で一緒に背負う。
虎之助は、八郎から、刀を受け取った。
八郎が、痛みに冷たい汗を浮かべながら、それでも、笑う。
望みを成就したかのような、笑顔。
叫びを噛み殺すために、刀の握りを口に咥える八郎に、せめてその瞬間の痛みは一瞬ですむように、虎之助は刀を振り下ろした。
「……八郎さん。それでも結局、あんたは俺を置いていくんじゃないか」
親友の腕を切り落とした、その重荷だけを、虎之助に残して。
堪え切れるはずのない叫びを、無理に押し殺して。
八郎は手当てすることさえ許さず、虎之助のもとを去って行った。