かおるこ連絡ノート
「そうですか?さすがに鬼先生と言われているだけはありますね」


男が合図し、勇次が解き放たれる。


「今は、お返ししましょう。ですが、あなたが裏切ることがあれば、彼が死にますよ」

「兄さん」


逃げればいいものを、勇次は、秀一に駆け寄った。


「兄さん、痛いのか?」

「え?」

「ずっと、鳩尾に手をあててる。痛いんだろ?」


まったく、こいつは。
秀一は、勇次から顔をそむけた。


「いつもそうなんだ。兄さん、俺が親父に怒られたりしてると、知らん顔するくせに、いっつも胃を痛くしてた」
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