かおるこ連絡ノート
「黙れ」


耐えかねて、秀一は、勇次の手を振り払った。
こんなところで、仲のいい兄弟みたいなことを言われて、たまるものか。


「兄さん」

「わかっていたなら、俺が、おまえみたいなバカな弟を持って、うんざりしていたこともわかるはずだよな?出て行け。二度と俺の足を引っ張るな」


勇次が、傷ついたような顔をして、立ち上がる。


「あの、紅とか言うバカ女の尻拭いをしてやっているんだ。わかったら、このことは誰にも言うなよ」

「兄さん、紅は」

「行かないと、この人たちに殺してもらうぞ!」


勇次が、後ずさり、部屋から出ていく。
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