かおるこ連絡ノート
「……ごめんな。勇次」

おまえを、騙して。
ひどい言葉ばかりを、ぶつけて。

大切に思う者ほど傷つけてしまう自分は、本当に出来損ないだと、思う。

これまでどれだけ、秀一はそんな場面を勇次に助けてもらってきたことだろう。

秀一が傷つけてしまった人達を、勇次はいつもその場でフォローしてくれた。

だけどこうして、勇次を傷つけてしまった時には、誰も勇次を慰めてくれないのだ。
それがわかっているのに、どうしていつでも、秀一は勇次を傷つけてしまうのだろう。

「もうすぐ、俺は消えるから。だから……許してくれよ?勇次」

呟いて、秀一は重い身体を引きずるように、部屋を出た。
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