かおるこ連絡ノート
「兄さんっ!」

勇次が、血まみれの秀一の身体を、抱き起こす。

「兄さんっ!目を開けてくれよっ!兄さん!」

勇次の、初めて聞く悲痛な叫び声に、秀一は意識を引き戻された。

瞼をあげるだけのことが、ひどく、重い。

「ゆう、じ」

かすれた声と一緒に、秀一の口から鮮血が溢れた。

「兄さん!兄さん、ごめん、ごめんなさいっ!俺のせいで、こんなっ」

ぼろぼろと涙をこぼしながら、謝り続ける勇次の、見たこともないような苦しげな表情に、秀一は戸惑った。

「なんで…おまえが…泣くんだ」

「だって、兄さん、俺のせいでこんな、こんな酷い怪我して、俺がまた、余計なことしたからっ」
「まあ…余計なこと…ってのは、その通りだけどな」

秀一は、痛みをこらえて、勇次に笑いかけた。

「おまえは、何も、悪くない。俺が、自分で撒いたタネだ。だから」

頼むから。

「そんな、つらそうに、泣くな。笑えよ、勇次」
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