かおるこ連絡ノート
「秀一様は、私の言った意味を、最後まで分かってくださりませんでした」
泣き疲れて、呆然とソファに座り込んでいる勇次に、葵が話しかける。
「以前、私は秀一様に『努力されているのは秀一様だけではない』と言いました。でも秀一様は結局、また、自分ひとりだけで何もかも抱えてしまわれた。もっと、周りの家族を見て、信じて頼るようになっていただきたかったのに」
「いつだって、兄さんはひとりで、努力してた。俺なんか、遊んでばっかりで、さっさと家の重圧からも逃げて。その上、兄さんは出来が違うんだ、って」
なのに。
いまさら、勇次は後悔に、また頭を抱えた。
「秀一様が、私たちに示された情報と計画は、完璧でした。ですが、それが私にはずっと不安でした。秀一様が、何かほかに、隠していらっしゃるのではないかと。それに、久しぶりにお会いした秀一様は、なんだかお痩せになって、とてもお顔の色が悪かったんです」
どうして、自分は気付かなかったのだろう。
近くにいたはずなのに、兄の変化になど、全く気付かなかった。
違う。
勇次が自分のわがままで、勝手に家を出たから。
だから、秀一の変化に気付けなかった。
泣き疲れて、呆然とソファに座り込んでいる勇次に、葵が話しかける。
「以前、私は秀一様に『努力されているのは秀一様だけではない』と言いました。でも秀一様は結局、また、自分ひとりだけで何もかも抱えてしまわれた。もっと、周りの家族を見て、信じて頼るようになっていただきたかったのに」
「いつだって、兄さんはひとりで、努力してた。俺なんか、遊んでばっかりで、さっさと家の重圧からも逃げて。その上、兄さんは出来が違うんだ、って」
なのに。
いまさら、勇次は後悔に、また頭を抱えた。
「秀一様が、私たちに示された情報と計画は、完璧でした。ですが、それが私にはずっと不安でした。秀一様が、何かほかに、隠していらっしゃるのではないかと。それに、久しぶりにお会いした秀一様は、なんだかお痩せになって、とてもお顔の色が悪かったんです」
どうして、自分は気付かなかったのだろう。
近くにいたはずなのに、兄の変化になど、全く気付かなかった。
違う。
勇次が自分のわがままで、勝手に家を出たから。
だから、秀一の変化に気付けなかった。