かおるこ連絡ノート
「あなたはどうして、自ら現場に向かうのですか?」
小型のノートパソコン越しに、Lが話しかけてくる。
Fは、機能性食品のかすが残る、親指の先を軽くなめて、キーボードに触れた。
「そのほうが、手っ取り早いからだ」
「あなたも、ワタリからFの名をもらった者。
人間を操る術は会得しているはずです。
私たちは、世界の頭脳。手足になるべきではないとは、思いませんか?」
「俺にはおまえみたいに何重にも閉じられた部屋の中で、キーボードひとつで世界を操るのは、性に合わないんだよ」
Fが、笑う。
Lは、無表情なまま、理解できないというように、Fを見ている。
「俺は、実際にこの世界にいたい。
その場で、本当に流された涙や、生活、命、それを実感して、それを守るために動いていたいんだ」
「それは返って、能率を悪くすることです」
Fは、空を見上げた。
風に揺れる、木。
ネオンどころか、ガスや水道さえ満足にないような、世界の片隅。
それでも、この空気は、Lのいる場所では、決して体験できない。
小型のノートパソコン越しに、Lが話しかけてくる。
Fは、機能性食品のかすが残る、親指の先を軽くなめて、キーボードに触れた。
「そのほうが、手っ取り早いからだ」
「あなたも、ワタリからFの名をもらった者。
人間を操る術は会得しているはずです。
私たちは、世界の頭脳。手足になるべきではないとは、思いませんか?」
「俺にはおまえみたいに何重にも閉じられた部屋の中で、キーボードひとつで世界を操るのは、性に合わないんだよ」
Fが、笑う。
Lは、無表情なまま、理解できないというように、Fを見ている。
「俺は、実際にこの世界にいたい。
その場で、本当に流された涙や、生活、命、それを実感して、それを守るために動いていたいんだ」
「それは返って、能率を悪くすることです」
Fは、空を見上げた。
風に揺れる、木。
ネオンどころか、ガスや水道さえ満足にないような、世界の片隅。
それでも、この空気は、Lのいる場所では、決して体験できない。