恋は甘酸っぱい果実のように
叶うはずのない恋
いつだって、好きな人を思ってる。それが叶わないと知っていても______
「あの、、ずっと、、ずっと、好きでした!」
私、白居歩和(しろいあゆな)は 今目の前にいる、同じクラス の閑城志人(かんじょうゆきと)くんに、自分の気持ちを伝えている。
「………ごめん、そういうのまじ鬱陶しい」
「っ………」
「だいたい、俺に彼女いること知ってんでしょ?この学校じゃ、知らない奴なんていないらしいし。」
志人くんは幼なじみの田嶋紗渚(たじまさな)さんと交際していて誰もが憧れるカップルだ。
「知ってる…」
「だったら…」
「でも!伝えるだけならいいでしょ?自分の気持ちに蓋をしてこのまま諦めるより、伝えた方がずっと諦められる!」
「伝えることさえも許されない?」
私は告白に至るまでの気持ちを打ち明かした。
「めんどくせぇ。とにかくごめん。白居とは無理。」
「じゃあな。気をつけて帰ろよ。」
告白の返事はわかってたはずなのに、心の準備ができたからしたのに。
涙が止まることを知らないように流れ続けた。
まるで、お前は報われないとでも言われてるよう気がして。
次の日、本当は行きたくなかった学校に向かうため、通学路を歩いていた。
「よう!歩和!」
「おはよう、悠稀」
彼の名前は立花悠稀(たちばなゆうき)。
私の幼なじみ。
そして、志人くんの親友。
正直、志人くんの親友の悠稀にも会いたくなかった。
「てか、朝は"よう!"じゃなくて"おはよう"だから!」
「別にどっちでもいいだろー?なんか、それで変わるわけでもねぇんだし!」
「1日の始まりはおはようでしょ!!」
こうして、毎日言い合いする。毎日同じことで。
でも、やっぱり……
「はいはい…。おはよう、歩和。」
悠稀が折れてくれるんだ。
悠稀はふわっと笑うから、それにつられて私も笑う。
そんな毎日。
「おはよう!志人!」
不意に志人くんの名前が聞こえたから、声がした方を見ると、紗渚さんと志人くんが前の方にいた。
正直、今日は見たくない。
昨日のことを思い出し、泣きそうになった。
「……なぁ。」
「お前ってさ、志人のこと好きなの?」
「え……?」
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