父の死とドーナッツ
父が、会社をやってた時の借金やアルコール中毒鬱の兄の為に経済的に豊かでない我が家は最低限の葬式をする。
半分以上は、僕も出していた。
うちの経済的柱は僕だったが、どういう葬式にする等は仕事で忙しい為に妹と母に任せていた。
葬式の場所に行くと納棺をするから男性の方は父を持って下さいと葬儀屋が言う。
その頃には兄も来てて叔父さんと僕と三人で持つが余りに軽いのに驚く。
骨と皮だけだったんです。
それからそれぞれが、父の身体を軽く拭きながら話し掛けて下さいと言われて僕は、手を拭きながら話し掛けずに大きな力強い手が握り返してくれないかと思った。
切にそう思うんです。
何処かで葬儀屋の言う通りに全てやってたまるかととも思っていた。
義弟も仕事の途中で切り上げて駆けつける。
和尚が来てお経をあげ始めた。
下手で何ともみすぼらしい若い和尚だったが、続くうちに堪えてた物がどっと出て号泣する。
何度か泣いていたが、鼻水は出るし涙は止まらない。
手で何度も拭くが履いてたズボンが涙と鼻水で汚れる。
父の若い頃父の晩年。
十年前に脳内出血をやった後の甥っ子との交流。
会社を潰した時の事様々な事を思い出すが、ほとんどゆっくりまともに話した事が少ないのに気付く。
それでも、父は一生懸命生きたし、子供を可愛いがった。