父の死とドーナッツ
電話を切って蒸し暑い中でもう一本煙草を吸ってるとボディにパンチを受けるように急に父がこの世に居ない事を痛感する。
抉られるような気分になって吐きそうになるが何とか堪えて煙草を吸うと俺も五十まで必死に生きてきたと思う。
声に出して父に殺されそうな事もあったし、死にそうな事もあったなあけど、楽しかった事も沢山あったねと言う。
蒸し暑い夜は、それには何も答えてくれなかった。
父に俺もお父さんのせいでは無いけど流れが悪かったなあと笑った。
もしも、そっちに行ったら色々トンネル工事の話しをしようよと言う。
五十まで良く生きたけど、余りに追い込まれたら許してなと言う。
三十代なら耐えられたのが、徐々に弱くなってしまってて何とか乗り越えるけど、何かしら有れば許してと僕は泣く。
父は、七十六でした。
高齢と言えば高齢だが晩年が惨めてで可哀想でしたが、それを母が中心に支えて来たと思います。
父と僕は、凄く似てて母と意見が合わないと父が僕に味方したのを思い出す。
僕と父は、ある意味いい加でしたが、白黒つけると言うより人間にはグレーな部分も有ると言う考えで一致してたが、潔癖な母はそこが違ってた。
どちらが良いとか悪いでは無いんです。