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道とはかねて聞きしかど、昨日今日とは思わざりしを…という伊勢物語の和歌をふと思い出しました。 何かを失うのは新しい何かを得るためだと、私は信じたいです。
大切な“ドーナッツ”をなくした、その悲しみが ページから、文章から、文字の……一文字一文字から伝わってきます。 辛かったろうと思います。 悲しかったと思います。 この作品を創られることを、恐らく悩まれたかと思いますが こうして作品に残してくださったこと、作者さまの気持ちを少しでも知れて――― 知ったあと、私は無くなったドーナッツの空洞を見た気がします。 表紙とラスト一ページがとても印象的で、惹きこまれる作品。 私は尚樹さんには、また新しくドーナッツを創って欲しいと 切に願っています。
ドーナッツの穴しかないのです。 ドーナッツは食べ終えられたから、形がなく、形があった時からあった穴しかないのです。 だけど見えなくても穴はまだあるのです。 ドーナッツ職人は引退しましたが、最後のドーナッツまでを作った事実は、ドーナッツを食べた(食べたかった)人達にも共通の事実なのです。慎んで、ご冥福をお祈り申し上げます。