諦めたけど好きです
片思いはカウンター
「ふはははははははははははははははははははは!!」
『ガタガタ!』
秀が来た!
私と彰先生は息をひそめる。
『ドン!』
「!……………………」
「………………………」
「…………………入ってこないな。」
「どっかに行ったのかな?」
とりあえずセーフ。
でもなかなかここから出れない。
すると彰先生が、私の耳元で
「なんか、こういう状況ってワクワクするよな。」
「私はハラハラしてますけどね」
「む~そっけないな~!」
誰のせいでここにいると思ってんだ!
「……仕返し!」
「…っ!?」
彰先生は私のお腹をくすぐってきた。
「あっ!…ちょっと彰先せ……ん!」
「あはは!かわいい~!そんな反応されるともっとやりたくなるなぁ」
そう言うと、彰先生は私の耳をペロッとなめた。
「ひゃ!……あっ…はぁ」
体に力が入らない。
彰先生はお腹をくすぐってくる。
「い、いい加減に……っ」
次に彰先生は私の首を噛んだ。
「知ってる?ライオンのオスはね、交尾のときにメスの首筋を噛むんだよ。」
「はっ………あぁっ!」
「授業してあげる」
ダメだ。どうしよう、なにも出来ない。されるがままだ。
誰か助けて…
「はーい。そこまでですよ。彰先生。」
いきなり扉が開いた。
眩しくて思わず目を細める。
「あれれ?何をしてたんですか?」
そこには海里がいた。
「え?なんだ海里が?あれ?………光樹は?」
少々パニック状態です。
ついさっきまで、海里と秀は変なドリンク飲まされてて…
「ふふっ。驚いた?実は俺、なーんも飲んでませーん!」
ぐっと親指をたてた。
「「は?」」
私と彰先生の声がそろった。
「うそ…?なんで」
「だって。あんな得たいも知れないもん飲めるわけないジャーン。飲んだふりして、あとは苦しんどけば全部床に捨てたしね。」
ニコッと笑う海里。
「!…じゃあ、なんで光樹とキ、キスしたの?」
あの光景は忘れないだろう。
「あれは、寸止め。さすがに相手の同意がない以上、キスなんてしないよ。」
安心して。と言って私の頭を撫でた。
ポカーンと口が空いてるままになる。
「さて、俺の説明は終わり。今度はそっちの説明をしてもらうよ。」
海里は彰先生を指差した。
「何をやってたんです?彰先生。」
「授業をしてたんだよ。」
「そんなところでですか?」
「うん。そうだよ。」
なんか二人の背後に虎と龍が見える……
すると、彰先生はこちらを向き近寄ってきた。
そして耳元でささやいた。
「今日はこれで終わってやるよ。でも、彰先生のドリンクを飲まなかったお仕置きは本当はこんなもんじゃないからな。」
ニヤリと笑った。
うすうす気づいていた。
私をいじめるときの彰先生を見るとなんとなく、そんな気はしていた。
彰先生は……………間違いなくドSだな!
彰先生は教室から出ていった。
「………大丈夫か?那奈。」
「あ、うん。まぁ」
無意識に噛まれた首をさすってしまった。
「…首に何かされた?」
「!いや、別になにも!そ、それより秀と光樹は?」
「あぁ、さっき秀がこの教室に入ろうとしてたから、一発殴って静かにさせたんだよ。そして光樹くんに任しといた。」
なるほど。あの音か。ガタガタいったあとに確かにドン!という音が聞こえてきた。
うん?ちょっと待てよ?
「…………てことは、海里はあのときからこの教室にいたの?」
「うん。そうだよ?」
……………………………………………………………はぁ!?
「な、ならなんで助けてくんないのさぁ!?」
「え、だってさぁ。助けようと、近くにいったら那奈の可愛い鳴き声が聞こえてきたから、もうちょっとと思って…」
「バカ野郎ーー!!!」
そして、今日が終わった。