諦めたけど好きです
片思いは気づく
え?私………今どんな状況?
待って…………は?
私の目の前には、腕を押さえる男子がいる。
その顔は苦痛に歪んでいる。
そしてその男子の血がついた刃物が、私の首に向かってギラギラ光っている。
少しでも動いたら切れそうだ。
私は秀とはぐれたと思ったら、いきなり後ろに腕を引かれた。
その瞬間、
「とまれぇぇぇぇ!」
私をつかんだ男がそう叫んだ。
その男は刃物を振り回した。近くの男子にあたり血がはねる。
私は捕まれて身動きが出来ない。
「この女を今からァぉぅ○□▽※□★…………………………………」
途中から何を言っているかわからないが、この男は冷静じゃない。
どんな行動に出るかわからないな………………
「…………その生徒を離せ!関係ないだろう!」
教頭先生が説得にきた。
けど…たぶん………
「だまれぇぇ!!!」
グッと私の方に刃物が近寄る。
もう、冷たい感触がある。どうしよ………
捕まれてる手が痛い………
ふと見ると、ユリナが何かを言っている。
口パクで………なんて……ジェスチャーも使ってくれてる。
おも………きり…………………な………………て?
……おも……………きり…なぐ……………て?
!おもいっきりなぐって!
私はわかったとかすかにうなずく。
ユリナは胸を張ってグッと親指をたてた。
さっきもやっていた…………とりあえずここは信じていいのかな?
私は男をちらりと見た。
目は血走っていて、何かをブツブツ呟いている。
「頼む!離してやってくれ!」
教頭先生がまたもや男に頼んだ。
「うるせぇ!!それいじょぉ近づいたらこいつをぉ○▽※▽」
男は一瞬、私から刃物を遠ざけた。
そして私はおもいっきり、肘鉄を食らわした。
「ぐっっ!!」
男から解放されて、自由になったら次はかかと落としだ。
「うぐっ……」
男はうめいてはいるが、あまりきいていない。
と思った刹那、横からユリナが来て…………
一瞬で倒した。
男は気を失っている
「私、空手やってるんだ。」
とユリナはニコッと愛らしい顔で笑った。
男は体から、かなりのアルコールが検出されて逮捕された。そしてそんな騒ぎがおきて文化祭は中止になった。
せっかくの文化祭がぁ…
私はため息をついた。
帰る準備をして、廊下を歩いていると。
「先輩が好きです!私と…お付き合いしてもらえませんか?」
ドキンッ!と私の胸が跳ねた。
こ、告白?
まわりをキョロキョロ見渡して見ると、3年生教室から声が聞こえた。
「……ダメですか?」
可愛い女の子が見えた。
後輩だ。
相手は誰だろう。
私は隠れながら相手の顔を見た。そしてかたまった。
「………ありがとう」
返事をして、告白されているのは秀だった。