諦めたけど好きです
SIDE秀②
相手の目を見つめる。
久しぶりに話す。
罰ゲームだとわかっていても告白は緊張する。
……………………ごめん
「好きです。付き合ってください。」
俺は那奈の顔を見た。
真っ赤に染まった頬。
目には涙がいっぱいたまっている。
「…もちろん!」
那奈は満面の笑みで返事した。
『ドキッ』
胸を鷲掴みにされた感じがした。
いたい。
那奈の顔は凄く幸せそうだ。
一瞬の顔。
「テッテレー!はぁ~い!ドッキリでしたぁ!」
「…………………え?」
那奈の目が見開かれる。
バカ野郎っ!
「いやー。王様ゲームやっててよぉ。それで告白をやらせたんだけど、まさかまだお前が秀好きだったなんでなぁ?」
那奈が固まっている。
黙らせたくなる。
罪悪感と苛立ちとでこの男を殴りたくなる。
「アハハハッ!お前も『もちろん!』っていい顔で言うからさぁ~。本当におもっ!………………」
俺が殴ろうと拳を握った瞬間、そいつは真横にぶっ飛んだ。
………え?俺まだ殴ってませんよ?
今度は俺が固まる。
「ふー。」
那奈はため息つく。
ヤバイ。次は俺の番かも…
那奈は顔上げた。
「良かったね。ドッキリが成功して。私はなにも知らないでバカみたいに答えて。
面白かった?人の恋をもてあそんで、ニヤニヤして。
そりゃ、面白いよね。告白を目の前で見れるんだもん。
性格が悪いやつに取って最高だよね。」
淡々と那奈はしゃべる。
顔を真っ赤にして涙をこぼした。
……………………ヤバイ
那奈は涙を拭いて感情の灯らない笑顔を見せた。
「ありがとね!こんな私に告白体験させてくれて!
たぶん一生に一度だろうね。バカみたいだったでしょ?1人だけ喜んでて。」
また涙を拭いた。
「じゃあね、くず野郎共」
ニコッと笑って帰っていった。
……………………俺は変なんだろうか。
…男達の前で皮肉を並べていた那奈が…キレイだと思った
って!そんなこと考えてる場合じゃねぇ!?
早く追いかけなきゃ……………おそいか
「今日メール送って、明日ちゃんと謝ろう」
散々、メールの文章を考えたがどう書いても言い訳にしかならないので『ごめん』と送った。
「………はぁ」
俺は帰ってベットに横たわった。
罪悪感が押し寄せてくる。
あのときの那奈の顔が頭から離れない。
「………………ごめん…」
『ポンッ!』
誰かからメールが来た。
「…………誰だよ……………………!?那奈!??」
返信されると思っていなかった。
「………嫌われてもしゃーないよな」
思いきってメールを読む。
『~宣戦布告~
私は、秀のことが好き。
これは、前も今も変わらない。
でも知っている。秀はそれを受け入れられないんでし ょう?
なら、私は宣言する!
秀に、「あぁ!!何で俺はこんな可愛いお姫様を受け 入れなかったのだ!なぜだ!」
、と後悔させてやる!
勝負だ!!
秀が後悔するのが先か、私が他に好きな人ができるのが先か!
絶対に勝ってやる!!!
秀へ
那奈より』
「………………なんだよこれっ……」
俺はメールを読んでいる途中で泣いていた。
俺はあんなひどいことしたのに…………まだ好きってお前はいってくれるのか?
絶交されても仕方ないと思ってた。
怒ってるだろ?
嫌いだろ?
「………バカ野郎…………………」
久しぶりに泣いて、久しぶりにあんなに笑った。