【短】Wonderful Moment
すると……。


「Hello、Mis.Homare!…What happened?」


いつもは時間より遅れてくる講師が、今日に限って早めの登場をした。


「は…Hello、Mr.George!No, nothing don't worry…」


こんなことで動揺していてはいけない。
そうは思うものの、喉がカラカラに乾いて、声が上手く出せなかった。


どうしよう…?
これじゃあ、今更教室を出て行けない!


じわり


情けないけど涙が滲んで来た。
あぁ、もう、何やってんだろ。
折角、先生がそろそろ私にもプレゼンテーションをさせてあげると言ってきてくれたのに。
その期待をこのままじゃ裏切ることになってしまう。

もう、単位がどうのというよりも、築き上げた信頼関係が壊れてしまう事の方が怖かった。
そして、大学内で、『日本人の生徒はやる気がない』なんて、そんな風に先生に思って欲しくなかった。


私はふらふらするその体をドア付近の壁に押し付けて、なんとかやり過ごす。

先生は鼻歌交じりに、今日のプレゼンテーションを楽しみにしているようだった。
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