【短】放課後の恋人

 いつも、みんなにちやほやされている樹くんの余裕ない表情。


 わたしだけが知ってる、樹くん。



「わたしは靡かない。どんなに顔が良くても、勉強できても、わたしにとっては同級生。ただのクラスメイトよ」



 意地悪だったかもしれない。
 でも、わたしは思ったんだ。


 この気持ちは恋愛じゃないかもしれない。ただ、びっくりしているだけかもって。


 だったら相手にも失礼。
 わたしにはまだわからなかった。
 本当の恋心が……。



「七海じゃないと意味がない」



 樹くんはなぜ、わたしにそんなことを言うの?
 他に女なんて、たくさんいるのに。
 好きだって言ってくれる人は探さなくたっている。


 どうして、そんなに頬を染めているんだろう。
 わたしには、わからない。

< 17 / 20 >

この作品をシェア

pagetop