【短】放課後の恋人
いつも、みんなにちやほやされている樹くんの余裕ない表情。
わたしだけが知ってる、樹くん。
「わたしは靡かない。どんなに顔が良くても、勉強できても、わたしにとっては同級生。ただのクラスメイトよ」
意地悪だったかもしれない。
でも、わたしは思ったんだ。
この気持ちは恋愛じゃないかもしれない。ただ、びっくりしているだけかもって。
だったら相手にも失礼。
わたしにはまだわからなかった。
本当の恋心が……。
「七海じゃないと意味がない」
樹くんはなぜ、わたしにそんなことを言うの?
他に女なんて、たくさんいるのに。
好きだって言ってくれる人は探さなくたっている。
どうして、そんなに頬を染めているんだろう。
わたしには、わからない。