【短】放課後の恋人
それでも部活だったり、夏期講習だったり、色々と学校に通う理由がある。
学生って意外と多忙だ。
夏休みなんて名前だけ。本当にイラつく。
八月最初の週。
夏休み中ってことで荷物が少ないせいか、忘れ物の数が減った。
減ったというよりも面倒になっただけ。わざわざ取りに戻るほど大事な物はなかったから。
ノートくらい忘れてもそのうち学校に行くし、教科書を忘れても家で勉強する気はない。
教室に戻ることもなくなって、同じ夏期講習を受けていても、放課後限定の友達とも話さなくなった。
でも気にならなかった。
だって学校の王子様と会話出来るなんて、有り得ないこと。平凡女子のわたしには非日常だったから。
普通に、わたしの日常に戻っただけのこと。