隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
『、、分かった。』
そう言うと、彼は電話相手と話を続けた。
「今から行く。場所は、、、セントラルホテルでいいか?」
その言葉に耳を疑った。
どうして女性とホテルで待ち合わせ、、?
その女性とはどういう関係なの?
〝行かないで欲しい〟
その一言が言える関係だったら良かったのに。
所詮偽りの恋人である私達には、相手を縛る権利もない。
泣きそうになる感情を押し殺して、着てきた服を身につけて荷物を抱えた。
彼は未だに電話中のようで、一言声を掛けようか迷ったがそのまま彼に背を向けた。