隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
靴を急いで穿いていると、後ろから手首を強めに掴まれた。
驚いて振り返ると、電話が終わった様子の彼が表情を歪め立っている。
彼もいつの間にかしっかりと服を着ていた。
「あ、ごめんね。電話中だったから声はかけない方がいいかなって思って。、、、お邪魔しました。本当、長居してごめんなさい。」
偽りの恋人である自分とは3年間の間で今日初めて休日を過ごしたが、はやり圭くんには休日過ごす相手が他にはいるんだとこれではっきりした。
でもそんなモヤモヤする気持ちは飲み込んで苦笑いを浮かべた。
しかし彼は何も言わず、手首はキツく握られたまま。
「えっと、、、圭くん?」
『、、、送る。』
圭くんは視線を外し、ポケットから車の鍵を取り出してそのまま外に連れ出された。