隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
「大丈夫だよっ、、!最寄駅まで歩くから圭くんは気にしないで行って?」
「ここがどこかもわからないでしょ。」
「そうだけど、、圭くんが遅れちゃうよ。」
「待ち合わせ時間までまだあるから。」
車に押し込まれ、強い口調の彼に結局押し切られてしまった。
「ごめんね、、ありがと。」
素直にお礼を伝えたが、ピリピリとした雰囲気を醸す彼はこちらを見ようともしない。
ここ数日で欲張りになってしまった。
きっとこれが最後になる。
だからせめて笑顔が見たかったのに、最後に見た彼の横顔は冷たい表情だ。
でも一生分の幸せな思い出を貰って、決心がついた。
彼との思い出作りはお終い。
明日からは、彼から少しずつ距離を置いて茶番劇に付き合ってくれる相手を探す決心がついた。