隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
それも一箇所ではなく、何箇所も。
昨日の甘い行為の最中もいろんな所に痕を付けられたが、それは優しくキスを落とされたような感覚だった。
でも今のは全く違う。
キスというよりも噛み付かれたような痛み。
今まで首筋に痕を付けられても、後ろばかりだったのにまさかの前の方で鎖骨の辺りにも痛みを感じた。
いつのまにか服の中に彼の手が滑り込んでいて少し乱暴な手つきで素肌を触れられた。
「っ、、やっ、、!圭君っ、、!!」
手で必死に彼の体を押し返すが、今度はその手首を掴まれて彼はそこにも口を寄せた。
「っ、、、、!」
手首にも強い痛みを感じて涙が滲む。
車内で初めて目があった圭君の表情は冷たくどこか虚ろな目をしていて恐怖を感じた。
ダカダカと体が震える。
そんな怯えた表情の私を見て、一瞬力が緩んだその隙に車から飛び出した。