隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
年齢は確か彼の一つ下で、彼を心から尊敬していて慕っているようだ。
そんな彼の〝恋人〟だからか、こうしてたまに助けてくれる優しい人だ。
慌てて頭を下げると、向こうもそれに気づき会釈を返してくれた。
顧客様にも彼の影響力は凄いらしい。
彼の出張3日目にして本当に思い知らされる。
私は彼に守られているという事。
お客様も疎らになる時間になり、今のうちに朝し損ねた掃除をしようと受付の死角から掃除道具を取り出した。
入り口の絨毯を固めのほうきを使って夢中で掃いていると後ろで人の気配がした。
さっと道具を後ろに隠し、頭を下げる。