隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜


それなのに、私の事を好きだと言ってくれる人にこんなことをお願いするなんて人としてどうかと思う。

ならば、たどり着く答えは一つだ。







「光さんの事、もっと教えて下さい。こんな私ですが、どうぞ宜しくお願いしますっ。」



光さんの事を知っていけば、彼の時のように心から好きになれると思うから。


そんな思いで、立ち上がって頭を下げた。








「うん、、宜しくね。」



頭をポンポンと撫でられて、光さんの優しい声に涙が出そうになった。




それからお互いの連絡先を交換して、夜景を見ながら談笑してその日はお開きになった。

光さんは本当に何もする事なく、アパートまで送ってくれた。


今思い返せば、圭くんもそうだった。

偽りの恋人になった日、圭くんも何かすることなくアパートに送ってくれたんだ。

偽りとはいえ恋人になったのだから当然別れ際にキスを交わすものだと緊張していたが、触れることなく圭くんを乗せ去っていく車を見て少し不思議に思っていた。



でも今なら少しだけわかる気がした。

きっと大事にしてくれていたんだって。






今更そんな事に気付いてしまう私は、本当に、、、馬鹿だ。





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