隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
小走りで受付に向かっていると、男性社員に前を立ち塞がれた。
「ねーねー、西村さんって津川と付き合ってなかったんだろ?なら俺と付き合ってよ。カモフラージュでもいいからさっ!」
「お前、知らねーの?西村さんは〝glitter〟の社長とも付き合ってたらしいぞ。二股ってやつじゃね?」
「別になん股でもいいわ。厄介だったのは津川なんだから。丁度あいつも出張中だし、こんな機会を逃がすかよ。」
「なんだよお前、抜け駆けか〜?」
「お前だってあわよくばって思ってんだろ〜。西村さん、前より二割り増しで可愛くなってるし狙ってる男も大勢いるしな。」
2人の男性が話し込んでいる隙に、急いで男性の横を通り過ぎた。
「す、すみません。急ぎますので失礼します。」
その場を離れたの束の間。
あっという間に、ロビーでの出来事は広まっていてすれ違う人からの視線が痛い。