隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
感情を無にして業務に取り組んでも、異性からは声を掛けられ、同性からは冷たい表情で陰口を囁かれる日々。
幸い、莉子ちゃんはロビーでの出来事の次の日からインフルエンザになってしまい会社を休んでいるようでそれだけはホッとした。
莉子ちゃんにまで被害が及ぶ可能性が少なからずあったから。
冷静に装っていた私の態度が気に入らなかったようで、次第に周りの行動がエスカレートしていった。
ロッカーが汚されているのは日常茶飯事で、事実ではない事も囁かれた。
その噂は社内だけでは止まらず、社外にも広まっているようで光さんの耳にも届いてしまったようで仕事が終わり疲れ果て外に出ると、怖い顔をした光さんが車に寄りかかっていた。
そんな光さんに心配をかけたく無くて、笑顔を貼り付けて車に駆け寄った。
「光さん、お疲れ様です。もしかしてお迎えに来てくださったんですか?」