隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
待たせてはいけないと急いで私服に着替え、裏口に出ると待ち構えていた莉子ちゃんにタクシーに押し込まれた。
莉子ちゃんが運転手さんに告げた行き先はいつもの居酒屋で、少しホッとした。
車の中で、酷く心配をしていた光さんに行き先を告げていつもの居酒屋に向かった。
いつもの定位置にいつも通り向かい合わせで座るが、俯いている莉子ちゃんはずっと黙り混んでいる。
そのビリビリした空気が耐えられなくなり、声を発した。
「あのっ、、、!莉子ちゃん、、その、、、ごめんなさい。」
「、、それは何に対しての謝罪?」
ようやく顔を上げてくれた莉子ちゃんは、薄っすら涙目でその表情を見て戸惑ってしまう。
「えっと、、それは、、。」
「なんだか様子がおかしくて只でさえ心配してた矢先に、インフル明けで久しぶりに出勤してみれば、こんな事になってて、、!っ、、私がどれだけ心配したの思ってるのっ、、!!!!!晶帆の所為で全然仕事なんてはかどらなかったのよっ、、!?!?」
凄い剣幕で涙を流しながら声を荒げる莉子ちゃんに驚いて唖然としてしまう。
クールな莉子ちゃんの知らない一面に驚かずには居られない。
「しかもっ!?!?やれ二股だの?!愛人だの?!ふざけた噂が社内で飛び交っててっ、、、!!私が知らない所できっと晶帆が苦しんでたんだって思ったら居ても立っても居られなくてっ、、!!」
そういって勢いよく伸びてきた手。