隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
「えっと、、その、、、、すみません。今は誰ともお付き合いするつもりは無くて、、受付に移ったばかりでまだ仕事も慣れていない状況ですので暫くは仕事に励みたいんです。ですから、、お付き合いはできません。本当に、、すみません、、。」
「そうでしたか、、分かりました。」
男性に小さく声を掛けると、ションボリした表情を浮かべながら去って行った。
ほっと胸をなで下ろすと、ロビーにいた女性達から鋭い視線を感じた。
「なにあれ。見せつけんのかな。まぢウザいわ〜。」
「今の人、総務で人気ある人じゃない?そんな人を公な場所でフるってどういう神経?相手の気持ちとか考えてないんだろうね。」
聞こえてくる陰口に唇を強く噛み締めた。
じゃあ、どうすれば正解だった、、、?
面識もない人と付き合えば良かったの、、?
もう、、辛い。
何が正解なのか分からない。
ここに立ち続けるのもツライ。
最近は食事も喉に通らなくて、、自宅でも眠りが浅い。
莉子ちゃんにも心配そうな表情させてばかりだ。
この時は、肉体的にも精神的にも限界だった。