隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
するとロビーから黄色い歓声が上がった。
「津川さんカッコイイっ、、!顔だけじゃなくて中身までイケメンなんだねぇー!!!」
「あんなにスマートにセクハラ男を退けちゃうとかまぢ男前〜〜〜。」
「これでまた津川さんの人気上がっちゃう!ライバル増えちゃう。」
彼を絶賛する声の中に聞こえる私への苦言。
「てか、、あの女ワザとじゃない?」
「津川さんにまで色目使って、サイアク。」
「あれもどうせ演技でしょ。被害者気取りかよ。寧ろ相手が被害者だろ。」
耳を塞ぎたくなるような言葉に俯いていると、急に手首を引かれた。
「、、医務室に行こう。取り敢えず、横になった方がいい。、、顔色も凄い悪いよ。」
ジャケットをめくられて覗きこまれた。
彼のその仕草にロビーからは悲鳴が上がる。
その悲鳴に身体が硬直して、つい津川さんの手を振り払う。
「っ、、、だ、大丈夫です。助けていただきありがとうございました。もう大丈夫ですから津川さんもお戻り下さい。私も受付業務に戻ります。」
そう言って頭を下げて津川さんから離れようとすると強い力で手首を掴まれた。