隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
何故こんな展開になったのか分からないが、津川さんを待たせてはいけないと急いで帰る支度をして会社を出た。
すると本当に車が一台停まっていて、運転席から津川さんが降りてきた。
「じゃあ乗って?」
「えっ、、あのっ、、でも本当に申し訳ないですから、、電車で帰ります。今日は本当に色々とご迷惑をお掛けしまして、、すみません。」
「つーか、ここで電車で帰られた方が迷惑だから。いいから乗って。」
少し荒めな口調で助手席に押し込まれた。
「はい、シートベルトして。出るよ。」
助手席で戸惑っていると、津川さんから横目で睨まれ慌ててシートベルトをはめた。
すると表情が柔らかくなった。
「、、ん。じゃあ行くよ。家はどの辺?」
「すみません、、、隣の駅前の近くでしてアパートの近くにフレッシュさくらという大型スーパーがあります、、。」
「あーあの辺ね、了解。あの辺なら10分もあれば着くよ。」
「お手数かけます、、。」
その後は緊張して言葉が出ない。
津川さんも正面だけ見て運転に集中している。
本当はいくつか聞きたい事があったが、声を掛けられずにいた。
チラチラと津川さんの横顔をうかがっていると、そんな視線に気づいた津川さんがこちらに視線を向けた。