隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
若いって、、元気だなぁ。
呑気にそんな事を考えていると、外回りから帰って来たであろう営業の男性が吉村君に声を掛けた。
「お前、、なんてことしてんだよ。この後どうなるかわかってやってんのか?今日は残業、覚悟しとけよ。」
「へ?なんで残業すか?」
「は?、、、知らねーの?西村さんって彼氏持ちだぞ。しかも西村さんに触るとか、お前どんだけ勇者なんだよ。残業で済めばいいけどな。、、、俺なんか言葉を交わしただけで睨み殺されそうになったわ。」
「えっ!?西村さんって彼氏持ちなんすか?!?!マジかー!もしかして社内すか?!?!誰すか?!まぢその男羨ましいっすね〜!じゃあ俺、そいつと西村さんが別れるの待ってますから。」
悔しがる吉村君の体が急に強い力で引かれて、ようやく握られていた手が解放された。
そして吉村君の背後には彼の姿。
振り返らなくても分かるその凄まじい怒りオーラに先程まで元気だった吉村君が、固まって動かなくなってしまった。