隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
握られた手の力が緩んだ隙に、急いで莉子ちゃんの隣に腰を下ろした。
すると彼は少し不機嫌そうな顔をして、私の目の前の席に座った。
「け、圭くんっ。」
「昼に聞くっていっただろ。で、昨日言ってた相談って?」
彼の手が伸びてきて、優しく頭を撫でられた。
それがパフォーマンスだと分かっていても、様々な視線を感じると居心地が悪い。
彼は居心地が悪くはないのだろうか。
「えっと、芹香先輩が来週予定日でしょう?圭君、先輩と同期だったよね。御祝いを買いに行きたくて、、もし、時間があれば一緒にどうかなって。」
「あー、、、そうだったっけ?それいつ買いに行く予定?」
「今日行こうと思ってるの。」
「悪い、、今日は接待が入ってて。行けそうにない。」