隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
一体何処で接待をしていたのかわからないが、電話を切ってから数分で息を切らしてやって来たこの男。
津川 圭。
この男こそが私の向かい側で可愛く無防備に眠る晶帆の恋人であり、受付へと異動になって弱り切っていた晶帆を救い出したヒーローだ。
「、、どういう状況?こんなになるまでなんで飲ませた?」
不機嫌なオーラを隠しもしない冷たい目。
この男の本性を知っても、晶帆は恋人として居続けられるだろうかと思うほどの別人ぶり。
晶帆は事あるごとに、〝圭くんは自分も含め女性皆んなに優しい〟と口にするが一応、女である私に今こうして冷たい視線を向ける姿を見てもそう思えるのだろうか。
そもそもそれが間違っている。
この男は、女性に優しいのではなく〝晶帆〟の前でだけ女性に優しいのだ。