隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜


そして津川さんは、いつのまたか手配していたタクシーに晶帆を抱えたまま乗り込んで去っていった。

タクシーの中で優しく髪にキスをする津川さんが見えて本当に溺愛してるなと改めて思った。







そんなタクシーを見送って荷物を取りに行こうと振り返ると、そこには私の荷物を持った店長の姿。



「あ、すみません。荷物ありがとうございます。今日も美味しいご飯でした、、、ではまた晶帆と来ます。おやすみなさい。」

感情がバレないように下を向きながら、そう言ってその場から離れようと店長から荷物をもらおうとするが何故か返してもらえない。







「て、店長?」

不思議に思い、顔を上げると真剣な顔をした店長と目があった。


「ほら、行くよ。莉子ちゃんはいつも自分は晶帆ちゃんと違って分かってるって言うけど、全然分かってないよ。こんなに酔って足取りだっておぼつかない状態なのに、無事に帰れるって本気で思ってるの?本当、、そう言うところは兄弟一緒だねー。意地張らないで素直に俺に送られておきなさい。」




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