隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
水着という言葉を聞いてピクリと眉が動いたのを私は見逃さなかった。
自分でもダメ元だったが、莉子ちゃんのいう通りあからさまに嫌そうな表情を浮かべた彼に少しだけ胸が痛んだ。
こうなったらドライブでもいい。
彼と出かけられるならもうこの際、どこでも良い。
「なんて、、ねっ、、!やっぱりドライブがいいかな。この歳だと水着で海はキツいよね。ううん、ドライブじゃなくても圭くんと一緒なら何処でもいいの!、、、圭くんはどこがいい?」
そう明るく尋ねると、困った表情を浮かべた彼。
「そんな可愛いこと言われたら、嫌だなんて言えないね。、、いいよ。海、行こうか?」
「え?いいの、、、?無理してない?」
「まぁ、、本音を言えば、ちょっと嫌かな。でも普通の女の子みたいに行きたい所とか、したい事とか今まで言う事なんて無かったから、、嬉しく思うよ。それに、、俺がこんなに穏やかに過ごせてるのは晶帆のお陰だからね?これくらい当然の事だよ。」