隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
「ほら、行くよ。」
「、、うん。」
手を繋いでホテルの一室を出た。
本当にチェックアウトは済ませていたようで、ロビーにある受付を素通りして出入り口へ向かって行く。
すれ違う人が彼を振り返って見て行く。
そして何やら小さい声で話している。
これだけ魅力的な彼ならそれも納得だ。
途端に隣に並ぶことが不安になってしまった。
私はちゃんと彼に釣り合っている、、?
不安に思っていると、何故か急に握られた手に力がこめられたのが分かった。
驚いて彼の顔を伺うと、何処か違う所を見ていて鋭い表情を浮かべていた。
歩くスピードも速くなり、引きずられるようにホテルのロビーを後にした。