隠れ蓑〜偽り恋人・真実の愛〜
もっと自分に自信があったなら、せめて彼と〝偽りの恋人〟じゃないのなら割り込んでいく勇気がでたかもしれない。
でも私にはそんな勇気もなければ、割り込む権利だってない。
ただ遠くで見つめる事しかできないのだ。
どうしようか迷って一歩後ろに下がると、不意に彼と目があった。
「晶帆、、、こっち。」
呼ばれるなんて思っていなくて、彼の周りの女性の視線が一斉にこちらに向かう。
その視線が怖くて戸惑っていると、今度は優しく手招きされた。
「こっちにおいで?晶帆。」
その甘い囁きには逆らえなくて、ゆっくりと彼に近づく。
するとグッと肩を抱かれた。