突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
第四章 冷たいシーツ
 あれから創とは、一週間以上も顔を合わせていなかった。

 お手伝いさんに聞いたところ、毎日日付が変わるくらいの時間だが、家には帰ってきているらしい。だが、ほかの部屋で過ごしているようで、ここには戻ってきていなかった。

 律儀に毎日帰ってきている自分が馬鹿らしく感じる。今日だって土曜日で仕事も休みだっていうのに、こうして部屋のソファーに座ってひとり本を読んでいた。

 自分が最初に不仲がどうとか言ってたくせに……。

 彼のことを考えるたびに、唇に触れたあの日の感触が蘇ってきて、ページをめくっていた手が止まる。頭を左右に大きく振り、何度も不本意な頬の熱を冷ましていた。

 避けられているのは腹立たしいけれど、今はどんな顔をして彼に会えばいいのかわからない。良いとは言えないが、この状況にわずかな安堵を覚えているのも事実だった。
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