突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「いたた……もう! いきなりなにす――」
痛みに歪めた顔を上げると、言葉はどこかに消えてしまった。すぐ目の前に現れた彼の顔に、身体を大きく仰け反らせる。私は、彼の上に乗っかっていた。
「ちょ、ちょっと……!」
慌てて降りようとするが、彼の片方の腕が腰もとに巻き付いている。抜け出そうと身を捩るが、びくともしなかった。
彼が、顔を覆っていた腕を外す。その顔は、決まりが悪そうにほのかに赤らんでいた。
「お前のそばじゃ眠れないんだよ。悪いか?」
そっけなく告げられる。言い終えた彼は、思い切り視線を逃がした。
「言わせんな、バカ犬」
さらに、余裕のない声でつぶやかれる。
恥ずかしさに、いたたまれなくなった。同時に、愛おしさにきゅっと胸が締め付けられる。きっと彼以上に紅潮していそうな顔を見られたくなくて、彼の胸もとに顔をうずめた。鼓動が痛いほどに高鳴っている。背中を撫でる手に一瞬小さく身体が跳ねるが、逃げ出せないでいた。
胸が痛い。このままじゃ倒れてしまいそうなのに、嫌じゃない。この切ない緊張感がひどく面映ゆいけれど、それ以上にこのふわふわとした感覚に身体の芯が揺すられるような心地良さを感じていた。
彼の両手が、私の頬を包むように持ち上げる。強制的に絡み合った。
痛みに歪めた顔を上げると、言葉はどこかに消えてしまった。すぐ目の前に現れた彼の顔に、身体を大きく仰け反らせる。私は、彼の上に乗っかっていた。
「ちょ、ちょっと……!」
慌てて降りようとするが、彼の片方の腕が腰もとに巻き付いている。抜け出そうと身を捩るが、びくともしなかった。
彼が、顔を覆っていた腕を外す。その顔は、決まりが悪そうにほのかに赤らんでいた。
「お前のそばじゃ眠れないんだよ。悪いか?」
そっけなく告げられる。言い終えた彼は、思い切り視線を逃がした。
「言わせんな、バカ犬」
さらに、余裕のない声でつぶやかれる。
恥ずかしさに、いたたまれなくなった。同時に、愛おしさにきゅっと胸が締め付けられる。きっと彼以上に紅潮していそうな顔を見られたくなくて、彼の胸もとに顔をうずめた。鼓動が痛いほどに高鳴っている。背中を撫でる手に一瞬小さく身体が跳ねるが、逃げ出せないでいた。
胸が痛い。このままじゃ倒れてしまいそうなのに、嫌じゃない。この切ない緊張感がひどく面映ゆいけれど、それ以上にこのふわふわとした感覚に身体の芯が揺すられるような心地良さを感じていた。
彼の両手が、私の頬を包むように持ち上げる。強制的に絡み合った。