死神メルの大事件
「いや、もう少し具体的に説明してもらわないとこちらも捜査に支障を来すものですから」
苦笑いを浮かべながらメモを取る刑事、田中は深夜の通報により全く眠っていなかった
叫びたくなるのはこちらの方だと内心毒付きながらペンを握り締め、怒りを殺していた
「ですから、お義父さんにはいつも夜の七時きっかりに御飯を持って行くんです。一分でも遅れたらすぐ臍を曲げる人でしたから」
「おい、何もそこまで言わなくても……」
「うるさいわね!何よ、あんたなんか仕事を理由にしてちっともお義父さんの面倒見なかったじゃない!」
「だから何度も言ってるだろう!今ちょうど注文が殺到しててだな――」
少し話が進んだかと思うと、いつもこんな調子で道から外れてしまう
もう何度この夫婦を諭しただろうか……被害者でなければ殴っている所だ