死神メルの大事件
「それで生島穣さんが亡くなった状況はどんな感じでしたか」
一通りの喧嘩を半ば強引に仲裁しながら、ようやく本題に入れる
「どうって……こう、胸を掻き毟った痕のようなものがありまして……」
「掻き毟る?失礼ですが穣さんは脳梗塞でお身体が動かない……と聞いていますが」
生島穣は重度の脳梗塞らしく、リハビリも空しく全く効果はなかったと報告が入ってきている
そのような状態の男が自身の胸を掻き毟る等、不可能に近い
「そのはずなんです……ですが、血が出る程に掻き毟っていまして」
「……なるほど」
メモを書き終え、席を立とうとした瞬間、早苗は思い出したように手を叩き
「そういえば気のせいかもしれませんが、お義父さんの表情……ひどく怯えていたように見えました」
「怯えていた?」
オウム返しに聞くと、早苗は力強く頷き
「まるで悪魔でも見てしまったかのような表情でした」
一通りの喧嘩を半ば強引に仲裁しながら、ようやく本題に入れる
「どうって……こう、胸を掻き毟った痕のようなものがありまして……」
「掻き毟る?失礼ですが穣さんは脳梗塞でお身体が動かない……と聞いていますが」
生島穣は重度の脳梗塞らしく、リハビリも空しく全く効果はなかったと報告が入ってきている
そのような状態の男が自身の胸を掻き毟る等、不可能に近い
「そのはずなんです……ですが、血が出る程に掻き毟っていまして」
「……なるほど」
メモを書き終え、席を立とうとした瞬間、早苗は思い出したように手を叩き
「そういえば気のせいかもしれませんが、お義父さんの表情……ひどく怯えていたように見えました」
「怯えていた?」
オウム返しに聞くと、早苗は力強く頷き
「まるで悪魔でも見てしまったかのような表情でした」